二艘式トロール網漁で網にかかったイルカ。 何千ものイルカが混獲によって毎年死んでいる。
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多くの漁業では、狙った獲物以外の魚や生物も捕獲し(これを混獲といいます)、多くの場合、それらの魚や生物は捨てられてしまいます。エビを獲る一部のトロール漁業では、捨てられる量は捕獲量の80%にも及ぶことがあります。また、海鳥、海亀、イルカなども混獲され、その数は時には膨大な数字に上ることもあります。
無駄に捨てられる魚
哺乳動物、海鳥、海亀、サメ、その他多くの生物が一緒に捕獲されてしまうこと、すなわち混獲は、世界の多くの場所で大きな問題となっています。混獲され捨
てられる物の中には、ターゲットではない生物だけでなく、たとえば狙った種でも小さすぎて売り物にならない魚なども含まれます。
混獲の問題がどれほど深刻であるかについての推測は分かれます。最新のFAO
(国連農業食料機関)の報告では、世界の総漁獲高の約8%が捨てられていると指摘していますが、前回の試算ではおよそ4分の1が船外に投げ捨てられている
としていました。また、毎年、680万トンから2700万トンの魚が捨てられている可能性があると推定されていますが、この数字の幅は非常に大きく、つま
り、この重要な問題に関するデータには大きな不確実性があるということを表しています。この問題がどのくらい深刻かは実のところ誰もわからないのです。
しかし、一部の漁場での混獲による高い死亡率は、個体群、群集などのレベルで、海洋生態系の構造と機能に影響を及ぼしている可能性があります。現代の商業的な漁業において、混獲が環境影響の最も重大なもののひとつだということは間違いないのです。
犠牲者:イルカ・クジラ・ウミガメ
漁業のタイプによって、混獲される生物も異なってきます。漁網にはイルカやクジラが絡まり、延縄漁業では鳥が魚用の餌を飲み込み、そして底引き網漁では数え切れない種が根こそぎ壊滅状態に追いやられます。
毎年1億匹ものサメやエイ類が漁具に引っかかり、捨てられていると考えられています。以前は多くのイルカが混獲されていたマグロ漁業では、イルカの混獲は
減ってきたものの、依然として多くのサメが混獲されています。網に捉えられて逃げ切れず、死んでゆくクジラやイルカも毎年30万頭に上ると推定されていま
す。
鳥たちは延縄漁の長い釣り糸につけられた餌に向かって飛び込み、釣り針ごとそれを飲み込み、水中に引きずり込まれて溺れてしまいます。延縄漁業によって殺されるアホウドリは毎年10万羽にもなり、このため多くの種が絶滅の危機に瀕しています。
底引き網漁は、海底の露天掘りともいえる破壊的な方法で、そこに住む生物たちを刈り取っていきます。ひどいときには一回の底引き網漁で、そこに住
む海底動植物の20%がいなくなってしまう場合もあります。これにより、ターゲットの魚のみならず、ヒトデや海綿など、商業的に価値のない生物も混獲で捕
らえられることになります。
また、混獲のレベルが最も高い漁業はエビ漁で、網に入ったものの80%以上が、ターゲットとしているエビ以外の海洋生物だといわれているほどです。
混獲を防ぐテクノロジー?
混獲を抑えるために、多くの技術が存在しています。一部のエビ漁ではウミガメを混獲しないための装置が網につけられています。延縄漁の場合には、釣り針の
つけ方を変えることができるようになり、同時に威嚇装置を使って鳥の犠牲数を大幅に減らしています。また、イルカが混獲されるのを避けるために、ピンガー
という小さな音響発生装置などが漁網に取り付けられています。さらに、クジラやイルカが漁網から出ることができるように、金属格子のエスケープ・ハッチも
用いられています。しかし、これらはいつも効果的だというわけではありません。
これらの装置はそれなりに機能しているとはいえ、混獲全体を解決できるわけではないのです。このような装置は、うまく機能しているかを継続的に観
察し、何らかの悪影響があるとすればそれもまた考慮・改善していく必要があります。しかし実際には、これらの装置は、発達した漁業管理と実施機関のある海
域でのみ用いられるだけで、広く使用されることは難しいと見られています。
海洋保護区が必要
地球的規模でみれば、混獲の問題に取り組む唯一の効果的な方法は、海洋保護区を設立し、破壊的な漁法そのものを規制することでしょう。