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ブリーチング(飛び跳ねる)ザトウクジラ(Megaptera novaeangliae), Au Au Channel, Lanai, ハワイ

ブリーチング(飛び跳ねる)ザトウクジラ(Megaptera novaeangliae), Au Au Channel, Lanai, ハワイ

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2007年9月から12月に行なわれた「クジラ海道」プロジェクトは、ザトウクジラに発信機をつけ、その回遊ルートを衛星で追跡した科学調査です。日本が行なっている調査捕鯨とは異なり、クジラを殺さないで行なうことができる調査で、「クジラ海道」プロジェクトは南半球のザトウクジラの調査としては過去最大規模の調査でした。その調査結果のまとめをご紹介します。

今回の調査対象は、過去の商業捕鯨による影響から個体数の回復がまだ見られていない南太平洋のザトウクジラでした。当初19頭のザトウクジラに発信機をつけることができましたが、残念ながら発信機からのシグナルはクジラが南極海に辿りつく前に途絶えてしまいました。よって南極海までの回遊ルートの判明は次回の調査まで持ち越しとなりましたが、このクジラ海道プロジェクトでこれまでに得られた科学的発見の一部を皆さんにご報告します。

「クジラ海道」プロジェクトで判明したこと

  • ニューカレドニア近海からのザトウクジラ追跡により、調査を開始した湾の沖合に、ザトウクジラの群れが立ち寄り長い時間を過ごす珊瑚礁生息域が存在することが初めて判明しました。この海域の存在を今までにどの科学者も予想していませんでしたが、今後この海域は更なる調査の舞台となると同時に、環境保護の対象ともなるでしょう。
  • ニューカレドニアの数百マイル沖に、チェスターフィールズというアメリカの旧捕鯨海域がありますが、かつて大量捕獲されたこの海域のザトウクジラと、個体数が極端に少ないニューカレドニアのザトウクジラに、今回初めて交流があることが判明しました。

  • ニューカレドニア沖で発信機が取り付けられた1頭のザトウクジラがニュージーランド沖まで移動しました。これにより、共に個体数回復の兆しが見えないニューカレドニアとニュージーランドのザトウクジラが、同じ群れである可能性が高いことが判明し、その保護対策への重要な情報を提供することができました。

  • ニューカレドニア沖で発信機が取り付けられたどのザトウクジラもオーストラリア方面へ向かいませんでした。これは、オーストラリア沖に生息する比較的生息数が回復しているザトウクジラとニューカレドニアのザトウクジラが異なる群れである可能性が高いという主張を科学的にサポートすることになりました。         
  • クック諸島から追跡を始めたザトウクジラは、一様に西を目指し泳ぎはじめ科学者を驚かせました。そしてそのザトウクジラたちは最後の発信機からのシグナルが途絶えるまで、すでに南半球の夏が近づいているにも関わらず南極海へ南下することはありませんでした。この行動は、ニューカレドニアのザトウクジラとは異なるもので、この行動から、科学者はザトウクジラがどのように広い海を回遊するのかの手がかりが見つけられるのではと期待し、その海域付近の地形などの調査を始めています。


この「クジラ海道」で得られた様々な新発見は、クジラの個体数、社会構成、回遊ナビゲーション、そして鯨類保護の方法を探る上でも役立つものばかりです。これらの情報は現在バイオプシー(1)やフォトID(2)と言った他の非致死的調査の結果と照合され、今も鯨類研究者による解析が進んでいます。クジラの生態の多くはまだ謎に包まれたままですが、それを明らかにするには、調査対象を保護しながら長期的かつ継続的なデータを得る非致死的調査が効果的です。

グリーンピースでは今後もできるかぎりこのような調査を行なっていき鯨類保護に役立てていきます。

(注)
(1)  バイオプシー    :
殺すのではなく体の一部をサンプリングして行う生体組織検査   

(2) フォトID    :
人間の指紋と同じように一頭一頭それぞれ違う模様を持つザトウクジラの尾びれを撮影・記録することによる個体識別方法